宮澤笛今昔記 第5話

「1本合わせの初歩的製造から互換性の高い製品開発へ」

ミヤザワフルートは1969年の創業時から約20年間1986年まで1本の管に一個のキーを合わせるという完全手工によるフルートを製作していました。(当時はどのメーカーも同じです)
しかし、この製造手法はバラツキが大きく結果として「良く鳴るフルートと余り鳴らないフルート」が出来るという不具合が生じていたのです。

当時のキーは鋳物によりキーを製造している事が大きな問題となっていて、バラツキの無い楽器にする為には、どうしても同じ形状のキーを作る事が急務であり、その為に新潟の燕三条市の洋食器製造メーカーに相談したり、時計のケースメーカーに行ったり全国を歩き、最終的に福井県の眼鏡フレームメーカーと縁があり、日本で初めての鍛造(金属を金型で成形する)キーによるフルートを開発成功したのです。

今日、多くのフルートメーカーがこの方式を取り入れるようになっていますが、ミヤザワの影響に因るものです。
この結果、驚異的にバラツキの少ない現在のフルートが出来たのです。

ミヤザワフルート創業者 宮澤 正