宮澤笛今昔記 第6話

「ブローガーシステム導入」第1回

創業20周年を迎えた1989年頃になり、更なる品質の向上をする為に色々な情報を集めている時、好意にしている先生から
「ブローガーシステム勉強してみたらどうか?」
という話を頂きましたが、私は不勉強でこのシステムについては全く聞いた事もなく知りませんでした。
早速調査をしたところ、このシステムはデンマークのヨハン、ブローガーさんと言う方が考案したシステムであって、フルートの右手、左手の連絡部分にピンを使用しないで連動させるシステムである事、このシステムは従来品に比べパイプと芯金の抵抗が約50%低下する為にキーの動きがとてもスムースである事等々を知りました。
又、このシステムはすでに国際特許をブローガーさんが取得している事も知りました。

そこで検討の結果、先ずはデンマークのブローガーさんに直接会って、このシステムを使用させてもらえるかどうかが重要であるので、1990年1月私はデンマーク・コペンハーゲンに在るブローガーさんの自宅にお邪魔し交渉を開始したのです。
しかし、交渉当日ブローガーさんが依頼した弁護士が同席し交渉の結果、このシステムを独占的に使用する為にはロイヤリティーの他に手付金として3000万円(日本円)が必要と弁護士から話が出て、結果的に当時のミヤザワには負担が大過ぎその支払いが出来ないので、残念ながら諦めるしかなかったのです。

ところが、その翌朝ブローガー氏が私の宿泊しているホテルに尋ねて来て、
「宮澤さん、昨日弁護士はあのように言いましたが、私自身はそんな多額は考えていない」
と言うのです。

第2回に続く。

ミヤザワフルート創業者 宮澤 正